新・三人姉妹
小さなビルの一室から、リオの熱狂が沸出する。そこに魔術が ある。踊り、歌い、挑発する肉の魔術だ。三人姉妹は笑い、叫 び、脱ぎ、踊り、歌い、口を大きくあけて驚愕する。奔放なギ リシアの三美神がそこにいる。原作が書かれてから100年後 に、こんなにエロティックで破壊的でいとおしい姉妹たちが生 まれようとは、チェーホフも想像だにしなかっただろう。
-港千尋/写真家・著述家
いや僕ね、今まで色々な「三人姉妹」観て来たけど、こんな「三人姉妹」観たことない。「三人姉妹」のな かにこんなイメージがあったかっていうことが非常に驚いた。要するに現代的というのかな、つまり生きてい る女の体を持った「三人姉妹」、生きている女の人生、そういうのが、 面白かった。チェーホフは閉鎖的なあそこに閉じ込められている女たち なんだけど。この女たちは出て行くな、きっと。
-渡辺保/演劇評論家
〜現代をどう生きる?新しい世界に向かう女たち〜
演出家小池博史が1982年に結成し、2011年の解散まで35年に渡って国内外で活動を続けた「パパ・タラフマラ」の代表作の一つである「三人姉妹」(2005年初演)は、貴族政治の末期を迎えた19世紀のロシアにおいて、三姉妹が新しい世界にどう対応していくのかを描いたチェーホフの同名原作を全く新しい切り口で現代の悲喜劇として蘇らせ、世界25ヶ国150ステージ以上での上演を果たすなど、非常に高い評価を受けた人気作。原作者チェーホフの故郷であるロシアでも上演され、「こんな『三人姉妹』は見たことがない!」と熱狂的に迎えられた。
シニカル、ナンセンス、エンターテイメントな悲喜劇
本作品では、チェーホフの名作戯曲を、小池博史がナンセンスかつシニカルに、誰にでも楽しめるエンターテイメント作品としてオリジナル化。台詞だけでなく、女性パフォーマー3人が身体や声を駆使してマシンガンのごとく繰り出す豪快な表現で、これがチェーホフ!?と観客の度肝を抜く。
革新的でプリミティブ(原始的)な身体
19世紀ロシアを舞台にしたチェーホフの原作はどこかアンニュイな雰囲気を漂わせるが、本作での三姉妹は自らの身体を駆使して踊り歌い、生命力に溢れている。「身体」に一貫して取り組んできた小池博史の演出により、全身の感覚を研ぎ澄ませた三人の女性の身体が、「限界の身体表現」と評されるほどの鮮烈な衝撃を観客に与える。
公演実績
「新・三人姉妹」

昭和30年代の地方都市を舞台とし、高度成長期を迎える中で古い「家」を出て行く女たちが描かれたパパ・タラフマラの「三人姉妹」を、平成の終わりに生きる女たちを描き出す現代版「新・三人姉妹」として新たに創作。ダンス・演技・音楽といったあらゆる身体表現を駆使し、姉妹たちの生き様をシンプル、且つ大胆に演出。テクノロジーの発達や経済・政治の変容、世界規模の環境変化によって急速に変化する現代において、三姉妹が「新しい人類」としてこの転換期にどのように向き合い、生き抜いていくのか…ロシアの文豪チェーホフの名作を、斬新な切り口でお届けする爽快トラジック・コメディ。
公演日/会場
2019年5月 上海戯劇学院 端鈞劇場(上海/中国)*初演
2019年5月 三鷹市芸術文化センター 星のホール(三鷹/東京)
2019年10月 肝付町文化センター(肝付/鹿児島)
2019年10月 与論町砂美地来館(与論島/鹿児島)
2020年9月 スタジオサイ(中野/東京)【映像ライブ配信】
2020年12月 小金井市立前原小学校体育館(小金井/東京)
2021年1月 大町市文化会館 echo hall(大町市/長野県)
2021年1月 学校法人吉田学園すみれ幼稚園(武蔵野市/東京)
2021年1月 金沢21世紀美術館シアター21(金沢市/石川県)
2021年1月 長久手市文化の家 森のホール(長久手市/愛知県)
演出・脚本・構成・振付 小池博史
出演 手代木花野 福島梓 甲斐美奈寿
音楽 松本淳一
小道具 森聖一郎 松島誠
衣装 田村香織
照明 上川真由美
音響 深澤秀一
舞台監督 中原和樹
演出助手 荒木亜矢子
撮影監修 宮下洋一
撮影 鎌田優希
撮影・配信 Sketch of Japan
制作 柴田佳恵 黒田麻理恵 穂坂裕美
主催 株式会社サイ
助成 令和2年度コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金