世界会議、2030世界漂流、2042世界望郷の旅、2056火の鳥が来る
肉体と肉声に照明、音楽、全てが高度で緻密。頭の中で理屈が崩壊して、すこぶるプリミティブに想像が爆発します。30年前にフィリップ・ジャンティ・カンパニーを観て以来の感動。
-松尾貴史氏(『2030世界漂流』感想)
素晴らしかった。なにより生々しく、そして想像力を喚起してくれる。13人と3人のミュージシャンは、ねずみのように地を這い踊り回り、叫び、歌う。世界が悲惨でも、コメディでなくっちゃね。出来合いの、芝居もダンスもここにはない。得体のしれない、はみ出しは、現実であった。感動したのは、この世界は、エンドレスだということを強く感じさせてくれたこと。じつに素晴らしい舞台、演出だった。
-後藤繁雄氏(『2030世界漂流』感想)
〜現代・近未来の世界を生きる人々〜
「マハーバーラタ」シリーズと対になる作品群として、過去の偉人や近未来世界といった視点から現代社会を見つめる。第一弾の2017年『世界会議』では「世界の行く末について論じる対話」をテーマに、歴史上の人物を登場人物に据え、彼らが現在の社会をどう見るかという視点を描いた。2018年の第二弾『2030世界漂流』では「難民問題」を取り上げ、世界を追われて彷徨う人々が漂流する近未来世界を独自の世界観で表現。また、香港にて2020年に制作、2021年に制作および公演を行ったの第三弾『2042 世界望郷の旅 in HK』では、2047年に中国返還を控えた5年前に時間を絞り、加速する身体の不在化が推し進めた喪失感を見直すための方法の発見の旅を描いた。オリジナル作品群として、前述の三作品のほか、『2042 世界望郷の旅 in TKO』『2056 火の鳥が来る』を制作する。
現代の世界を捉える
世界は多くの問題を抱えながら時代は逆行し、掲げたはずの理想社会からかけ離れていく現代社会。テクノロジーの発展で世界は狭くなる一方で、世界にはたくさんの壁があると実感する状況である。私たちにとっての幸福とは何なのか、実現可能なのか。根源的な人間の問題を扱い、その視点から世界を見つめるシリーズ。現在、世界各地において同様の問題が起こっている状況を踏まえながら、音楽と舞台上の表現を通して人々に問いかける作品群。
「解読」するのではなく、全身体的に感じる舞台
対話や会議をテーマとするにせよ、言葉は少なく、身体言語、空間言語、時間言語のミクスチャーによる言語を用いることで、舞台芸術としてしか成立し得ない言語構築を試みている。映像と身体がリンクし、イメージの展覧会のような展開から全体の方向性を示す演出法。動きと舞踊と断片的ことばが散りばめられ、映像、美術、さまざまな音が渾然一体かするなかで、世界の本質、根源性を探り出そうとする。音楽家含め様々なジャンルのバックグラウンドを持つ出演者を集結させ、多様な表現方法を駆使することで、世界中にはびこる問題意識を観客とより深く、感覚的に共有することをめざす。
公演実績
「世界会議」

本シリーズは小池博史ブリッジプロジェクトとして初となる完全オリジナル作品であり、シリーズ全体を通して “今後をいかに生き抜くか” という問いと回答を舞台上で具現化させている。その第一弾となる “世界会議” では、世界各国の偉人たちの亡霊が舞台上に登場し世界を論じる会議を開催する。それは、単に言葉を交わすというだけでなく、身体性を強く用いた言葉の少ない会議である。能楽師・清水寛二、元パパ・タラフマラの松島誠をはじめ、ダンサー、俳優、サーカスパフォーマーといった、20 代~60 代の様々な身体によって「世界の行く末について論じる対話」をテーマに平和構築とは何かを問いただす。
公演日 2017年 1月28日~2月5日
会場 吉祥寺シアター(武蔵野市、東京)
演出・脚本・振付・構成 小池博史
出演・振付 清水寛二(能楽師・銕仙会)松島誠 白井さち子 荒木亜矢子 谷口 界 立本夏山 吉澤慎吾
演奏 下町兄弟(ジャンベ・パーカッション)太田 豊(横笛・サックス)徳久ウィリアム(ボイス・口琴)
舞台美術 栗林 隆
作曲 太田 豊 下町兄弟 徳久ウィリアム
衣装 浜井弘治
映像 飯名尚人
照明 上川真由美
小道具 森 聖一郎
音響 印南昭太朗
音楽プラン 小池博史
演出助手 松縄春香
舞台監督 中原和樹
映像オペレーター 甲斐美奈寿 根本和歌菜
宣伝写真 小池博史
宣伝美術アートワーク 阿部海太
宣伝美術 阿部航太
制作 粟津梨恵 木村元郁 川波紀子 市川喜愛瑠 木村元郁 惡澤仁美
制作協力 大森晴香
主催 株式会社サイ
提携 公益財団法人武蔵野文化事業団
企画 小池博史ブリッジプロジェクト
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(文化芸術創造活動活性化事業) 企業メセナ協議会助成認定活動
協力 流山市生涯学習センター ( 流山エルズ ) 指定管理者アクティオ株式会社 株式会社うるとら はまいデザイン事務所 SHIBAURA RECORDS ( 公財 ) セゾン文化財団 Office KOIKE Awagami Factory ( アワガミファクトリー)ムトウ工作 studio TRIP MUSEUM
「2030世界漂流」

「世界シリーズ」第二弾。「世界を追われ、彷徨う人々」をテーマとし、音楽や身体表現を軸に舞台を作り上げていく。本作品で描かれる情景は、2030年という近未来。紛争や迫害などで住んでいた地域を追われ、世界を漂流する登場人物たちを描く群像劇である。フィリップ・エマールの出身国フランスにおける難民キャンプでの暴動やムーンムーン・サイの出身国インドにおける宗教迫害、チベット難民受け入れの問題、日本では福島第一原発からの避難民等々、現在、世界各地において同様の問題が起こっている状況を踏まえている。同時に、異なるバックグラウンドの人々がひとつの場所で生きる困難を表現するため、音楽家含め様々なジャンルのバックグラウンドを持つ出演者を集結させている。この世界観を生演奏の楽曲や多様な楽器、ヴォイス表現、身体のリズムと共に現在の世界に対して人々の感性を通じ、観客達に現在の世界をどう生きるべきか強く訴えかける。
公演日 2018年 2月3日~12日
会場 吉祥寺シアター(武蔵野市、東京)
演出・脚本・振付・構成 小池博史
出演・振付 フィリップ・エマール ムーンムーン・シン 荒木亜矢子 谷口界 𠮷澤慎吾 青木賢治 甲斐美奈寿 日下麻彩 佐久間文恵 野瀬山瑞希 平多理恵子 福島梓 森ようこ
演奏 下町兄弟(ジャンベ・パーカッション)太田豊(横笛・サックス)祭美和(ボイス)
作曲 太田豊 下町兄弟
衣装 浜井弘治
衣装アシスタント 浜井麻紀
映像 飯名尚人
照明 富山貴之
音響 深澤秀一
音楽プラン 小池博史
演出助手 うえもとしほ 根本和歌菜
舞台監督 中原和樹 吉田誠
宣伝美術 梅村昇史
映像 宮下洋一
制作 粟津梨恵 木村元郁 惡澤仁美 伊藤緑 原田真歩
「2042世界望郷の旅 in HK」
香港の2047年中国返還を控えた5年前に時間を絞り、行き場を失った若者たちに問われる人間の本質を描くサイエンスフィクションである。人間は何を失ったら人間と名乗れなくなるのか。誰もが様々な疑問を持ちながら出口を探す。記憶を失ってもなお残るものはなにか?
人が生きるには何が必要か?そして人の愛情は果たして人に対して変わらず持ち得るものなのか? コンピューターに対してはどうか?私たちが失ってしまったものは何か?人としての情熱とは何か?
空間は地下世界、地上世界、そして意識世界の三層に分かれ、加速する身体の不在化が推し進めた喪失感を再度、見直すための方法の発見の旅として描いている。
公演日 2021年4月2日~4日
会場 香港
出演 趙鷺燕(香港) 高棋炘(香港) 黎濟銘(香港) 李健偉(香港) 麥智樂(香港) 董仲勤(香港) 黃雪燁(香港)
リモートパフォーマンス 松島誠 (日本)
共同演出・脚本・振付 小池博史 (日本)
企画・共同演出 陳曙曦(香港)
音楽・演奏 陳庭章(香港)
美術・衣装・映像 郭偉倫(香港)
照明 郭佩欣(香港)
音響 何楚雯(香港)
企画 劉漢華(香港)
舞台監督 陳樂詩(香港)
プロデューサー 莫蔓茹(香港)
制作 佘樂妍(香港)
舞台監督助手 梁烯樺(香港) 劉世偉(香港) 陳俊銘(香港) 朱圃言(香港) 梁煜星(香港)
制作助手 梁雪妍(香港)何珮琳(香港)